業務マニュアルや引き継ぎ用の手順書を作ることになったものの、パソコンの前で「どこから書き始めればいいのだろう…」と手が止まってしまうことはありませんか。日々のルーティン業務をこなしながら、分かりやすい文章をゼロから組み立てるのは想像以上にエネルギーを使いますよね。
この会議室では、ChatGPTを使ってマニュアルの骨組みを素早く作り、作成にかかる時間を大幅に減らす方法をご紹介します。AIに丸投げするのではなく、上手に相棒として頼ることで、誰が読んでも迷わない手順書が驚くほどスムーズに仕上がりますよ。
まずは、会社のセキュリティルールや機密情報の取り扱いを確認した上で、さっそく具体的な手順を見ていきましょう。
マニュアル作成で手が止まる本当の原因と、AIで解決する仕組み
マニュアル作成で時間がかかってしまう一番の原因は、「頭の中にあるバラバラの作業手順を、順序立てて分かりやすい形に整理しようとすること」にあります。作業自体は毎日当たり前に行っているため、いざ言語化しようとすると、どこから説明すべきか迷ってしまうのです。
事務職の具体的な業務例として、月に一度の「月次請求書発行業務」を考えてみます。頭の中では「データをダウンロードして、システムに入力して、印刷して封入する」と分かっていても、いざWordを開くと「前提条件は?」「例外処理はどう書くんだっけ?」と手が止まります。
ここでAIを活用する仕組みは非常にシンプルです。人間は「思いついた作業の箇条書きメモ」だけを用意し、文章の並び替えや「目的・準備・手順・注意点」といった構成への落とし込みをAIに担当させます。これにより、構成に悩む時間をゼロに近づけることができます。
ただし注意点として、AIは社内の独自のローカルルールや未公開のシステム仕様を完璧には把握していません。あくまで「構成の土台を作る道具」として割り切って使うことが、失敗しないための判断基準となります。
【実践】ChatGPTに読み込ませる「箇条書きメモ」の準備とNG例
AIに精度の高い構成案を作ってもらうためには、最初にあたえる「メモ」の質が大切です。ここで、AIに入力してはいけない情報について触れておきます。顧客の個人情報、パスワード、社外秘の数値データなどは絶対に入力しないよう、会社の情報セキュリティルールを必ず確認してください。
【悪い入力例】月次請求書のやり方。取引先A社(東京都渋谷区…)のデータを入れて、担当の山田さんに確認してもらう。
【問題点・変更点】上記の例では、固有名詞や個人情報が含まれておりセキュリティ上のリスクがあります。また、情報が断片的すぎてAIが全体の流れを把握しにくくなっています。
【正しいメモの作り方】個人情報を伏せ、作業の順番通りに短く箇条書きにします。「月次請求書発行の業務手順。1.専用システムから前月分の売上データをCSVでダウンロードする。2.指定のExcelフォーマットに貼り付けて金額の整合性をチェックする。3.上長へチャットで確認依頼を送り、承認を得る。4.印刷して封入し、郵送手配をする。」このように、固有名詞を「取引先」「上長」などに置き換えて準備しましょう。
【入力例と出力例】AIでマニュアルの構成案を一発で作るプロンプト
準備したメモをChatGPTに読み込ませて、一気にマニュアルの骨組みを作ります。以下のテンプレートをコピーして、ご自身の業務に合わせて書き換えてみてください。
【用途ラベル:マニュアル構成案作成用プロンプト】(誰が:事務職が、誰に:後任や他部署のメンバーに、何のために:スムーズに業務を引き継ぐマニュアルの骨組みを作るため)
以下の箇条書きメモを元に、初心者でも迷わず実行できる業務マニュアルの構成案を作成してください。
【条件】・構成は「1. 業務の目的」「2. 事前準備・必要物」「3. 具体的な手順(ステップ形式)」「4. トラブル時の注意点」の4つに分けてください。・手順は時系列で分かりやすく整理してください。
【箇条書きメモ】(ここにあなたのメモを貼り付けてください)
【ChatGPTの想定出力例(架空の出力例)】ご提示いただいたメモをもとに、以下のマニュアル構成案を作成しました。
1. 業務の目的・月次売上データを正確に処理し、期限内に請求書を発送する。
2. 事前準備・必要物・専用システムへのログイン権限・指定のExcel集計シート
3. 具体的な手順・ステップ1:システムからのデータダウンロード・ステップ2:Excelでの金額チェック・ステップ3:上長への承認依頼・ステップ4:印刷・封入・郵送手配
4. トラブル時の注意点・金額に差異がある場合は、必ず処理をストップして上長に相談する。
この出力を確認し、もしステップが足りない場合は「ステップ2と3の間に、フォーマットの書式確認の工程を追加して」と追加で指示することで、より精度の高い構成に修正できます。
AIの出力を社内マニュアルに仕上げる手順と、人間が確認すべきチェック項目
AIが作ってくれた構成案をベースに、実際のWordや社内Wikiへ流し込み、詳細な文章を肉付けしていきます。ここでのポイントは、「AIの出力はあくまで骨組みであり、細部の表現は自分で補う」ということです。
事務職の具体的な業務例として、先ほどの「ステップ2:Excelでの金額チェック」を肉付けする場合を考えます。AIは「金額をチェックする」とだけ出力しますが、実際には「マイナス表示がないか確認する」「前月比で20%以上の増減がある場合は備考欄を確認する」といった、あなた自身の持つ細かな判断基準を書き足す必要があります。
読者が判断する基準として、「このマニュアルを見た新人が、自分の判断で最後まで手を止めずに進められるか」を基準にしましょう。もし「ここで迷うかもしれない」という箇所があれば、補足の注意書きを赤字や別枠で付け足します。
失敗しやすい例外として、AIが作った文章をそのまま社内システムのマニュアルとして登録してしまい、会社の言い回しや専門用語とズレてしまうケースがあります。必ず社内のトーン&マナーに合わせて言葉を整えてから完成としましょう。
よくある失敗と、修正が面倒にならないための対処法
マニュアル作成でよくある失敗は、「最初から完璧なものを一発のプロンプトで作ろうとすること」です。AIに一度で全てを完璧に書かせようとすると、情報がごちゃ混ぜになり、かえって修正に時間がかかってしまいます。
原因と仕組みとして、AIは一度に受け取る情報量が多すぎると、細部のニュアンスを省略してしまう傾向があります。そのため、まずは今回紹介したように「構成案(骨組み)」だけを作らせ、次に「ステップ1の詳細文」、その次に「ステップ2の詳細文」と、分けて指示を出すのが最も効率的です。
事務職の業務例として、一度に全10ステップの業務をAIに入力して失敗した場合は、業務を前半と後半の2つに分割してプロンプトを送り直すことで、スムーズに意図通りの文章が返ってきます。
改善しない場合の次の手段として、AIに文章を書かせるのを一旦やめ、音声入力で自分が喋った内容をテキスト化し、それをAIに「きれいに箇条書きに整理して」とお願いする方法も有効です。キーボードを叩くよりも圧倒的に早くメモが完成しますよ。
まとめと今日行うこと
ここまで、ChatGPTを使ったマニュアル作成の効率化について見てきました。ゼロから文章を考えるのではなく、箇条書きのメモからAIに構成案を作ってもらうことで、マニュアル作成のハードルはグッと下がります。
ミライ事務では、あなたの時間と心を取り戻すための小さな工夫をこれからもお届けしていきます。最後に、今日からすぐに行えることを3つまとめました。
- 会社のセキュリティルールを確認し、AIに入力してよい情報の範囲を把握する
- マニュアル化したい業務を、まずはノートやメモ帳に箇条書きで書き出してみる
- 紹介したプロンプトを使って、ChatGPTに最初の構成案を出力させてみる
三上ケン:マニュアル作成に追われる日はもう終わりです。まずは今日の業務メモから、AIとの相棒生活を始めてみてくださいね。