朝から夕方までパソコンを使っていると、マウスとキーボードを何度も持ち替えるだけで、右手や肩が疲れてしまいますよね。
メールの文章をコピーするためにマウスへ手を伸ばし、貼り付ける場所をクリックし、またキーボードへ戻る。Excelを保存するために画面上のボタンへカーソルを移動し、作業が終われば別のウィンドウを探す。
一つひとつは数秒の操作ですが、これを一日に何十回、何百回と繰り返すと、意外なほど時間を使っています。
そこで覚えたいのが、キーボードショートカットです。
ショートカットを使えば、コピーや貼り付けだけでなく、保存、検索、画面の切り替え、ファイル名の変更、Excelの行や列の操作まで、マウスを使わずに進められます。
この記事では、事務職で使う機会が多いショートカットを、初心者向け・Excel・Word・Outlook・Windowsに分けて紹介します。
すべてを一度に覚える必要はありません。まずは、毎日何度も使っている操作を一つだけ、キーボードへ置き換えてみましょう。
マウスを使わないと、なぜ事務作業が速くなるのか
ショートカットのメリットは、単純にクリック回数が減ることだけではありません。
大きな違いは、作業の流れを止めにくくなることです。
例えば、文章を入力している途中で一部をコピーしたいとします。
マウスを使う場合は、次のような動きになります。
- キーボードから右手を離す
- マウスを握る
- コピーしたい範囲を選ぶ
- 右クリックする
- 「コピー」を選ぶ
- 貼り付けたい場所をクリックする
- 再び右クリックする
- 「貼り付け」を選ぶ
- 右手をキーボードへ戻す
ショートカットなら、範囲を選択したあとにCtrl+C、貼り付けたい場所でCtrl+Vを押すだけです。
手を大きく動かさず、文章入力の流れも止まりにくくなります。
一回の差はわずかでも、コピーや貼り付けを一日に50回行えば、その違いは無視できません。作業のテンポがよくなり、マウスを握る時間が減ることで、手や肩の負担軽減も期待できます。
最初に覚えるべきショートカット10選
ショートカットは数多くありますが、最初から全部覚えようとすると続きません。
まずは、Excel・Word・Outlookなどで共通して使える次の10個から始めましょう。
| ショートカット | できること | よく使う場面 |
|---|---|---|
| Ctrl+C | コピー | 文章・セル・ファイルを複製するとき |
| Ctrl+V | 貼り付け | コピーした内容を別の場所へ入れるとき |
| Ctrl+X | 切り取り | 文章やセルを別の場所へ移動するとき |
| Ctrl+Z | 元に戻す | 入力や削除を間違えたとき |
| Ctrl+Y | やり直す | 元に戻した操作を再び実行するとき |
| Ctrl+S | 保存 | Excel・Wordなどの編集中 |
| Ctrl+A | すべて選択 | 文章・表・ファイルをまとめて選ぶとき |
| Ctrl+F | 検索 | 長い文章やExcel表から文字を探すとき |
| Ctrl+P | 印刷画面を開く | 資料や帳票を印刷するとき |
| Alt+Tab | 画面を切り替える | Excel・メール・ブラウザを行き来するとき |
この中でも、特に優先したいのはCtrl+ZとAlt+Tabです。
Ctrl+Zは、セルを消してしまったときや文章を書き換えたときに、すぐ元へ戻せます。間違いを恐れず操作できるため、作業が止まりにくくなります。
Alt+Tabは、複数の画面を開いて仕事をする事務職に便利です。例えば、メールの内容をExcelへ入力するとき、毎回タスクバーをクリックしなくても、キー操作だけで画面を切り替えられます。
事務作業で差がつくWindowsショートカット
ExcelやWordの操作だけでなく、Windowsそのものをキーボードで動かせるようになると、作業全体が速くなります。
開いている画面をすばやく切り替える
Alt+Tabを押すと、現在開いている画面の一覧が表示されます。
Altキーを押したままTabキーを押すたびに、選択する画面が移動します。目的の画面が選ばれたところでAltキーを離すと、その画面へ切り替わります。
例えば次のような作業で便利です。
- メールを見ながらExcelへ数字を入力する
- Webサイトを確認しながらWordで資料を作る
- PDFの内容を社内システムへ転記する
デスクトップを一瞬で表示する
Windowsキー+Dを押すと、開いている画面がすべて最小化され、デスクトップが表示されます。
もう一度押すと、元の画面へ戻せます。
デスクトップに保存したファイルを開きたいときや、画面を一時的に隠したいときに便利です。
画面を左右に並べる
Windowsキー+←、またはWindowsキー+→を押すと、現在の画面を左半分または右半分へ配置できます。
メールを左側、Excelを右側に並べれば、画面を切り替えずに内容を確認できます。
コピー元と入力先を見比べる作業では、非常に使いやすい機能です。
ファイル名をすぐ変更する
エクスプローラーでファイルを選び、F2を押すと、ファイル名を変更できます。
右クリックして「名前の変更」を選ぶ必要はありません。
請求書や会議資料など、日付を付けて保存するファイルが多い職場では、覚えておくと便利です。
Windowsで使える便利なキー操作一覧
| ショートカット | できること |
|---|---|
| Alt+Tab | 開いている画面を切り替える |
| Windowsキー+D | デスクトップを表示する |
| Windowsキー+E | エクスプローラーを開く |
| Windowsキー+L | パソコンをロックする |
| Windowsキー+Shift+S | 画面の一部を切り取って保存する |
| Windowsキー+←/→ | 画面を左右へ配置する |
| F2 | 選択したファイル名を変更する |
| Delete | 選択したファイルをゴミ箱へ移動する |
| Shift+Delete | ゴミ箱を経由せず削除する |
Shift+Deleteは、通常の削除より元に戻しにくいため、重要なファイルには使わないよう注意しましょう。
Excel作業が速くなるショートカット
Excelでは、セルのコピーだけでなく、行や列の選択、数式のコピー、今日の日付の入力などもキーボードで操作できます。
表の端まで一気に移動する
Ctrl+矢印キーを押すと、データが入力されている範囲の端まで移動できます。
例えば、A2からA5000までデータがある場合、Ctrl+↓を押すと、スクロールせずに最終データ付近へ移動できます。
長い名簿や売上一覧を扱うときに便利です。
表全体をまとめて選択する
表の中にカーソルを置き、Ctrl+Aを押すと、連続するデータ範囲を選択できます。
もう一度Ctrl+Aを押すと、ワークシート全体が選択されます。
表の書式をまとめて変更したいときや、データをコピーするときに役立ちます。
上のセルの内容を下へコピーする
Ctrl+Dを使うと、選択した範囲の一番上にある内容を、下のセルへコピーできます。
例えば、B2に数式があり、B2からB100まで同じ数式を入れたい場合は、B2:B100を選択してCtrl+Dを押します。
フィルハンドルをマウスで下までドラッグする必要がありません。
今日の日付を入力する
Ctrl+;を押すと、現在の日付を入力できます。
日報、受付表、作業記録など、日付を頻繁に入力する事務作業に便利です。
Excelで使える便利なキー操作一覧
| ショートカット | できること | 使用例 |
|---|---|---|
| Ctrl+矢印キー | データ範囲の端へ移動 | 長い名簿の最終行へ移動 |
| Ctrl+Shift+矢印キー | データ範囲の端まで選択 | 大量のデータをまとめて選択 |
| Ctrl+D | 上のセルを下へコピー | 数式を複数行へコピー |
| Ctrl+R | 左のセルを右へコピー | 月別の計算式を横へコピー |
| Ctrl+; | 今日の日付を入力 | 日報や受付記録 |
| Ctrl+1 | セルの書式設定を開く | 表示形式や罫線を変更 |
| F2 | セルを編集する | 数式や文字を部分修正 |
| Alt+= | 合計を自動入力 | 売上や件数の合計 |
| Ctrl+Space | 列全体を選択 | 列幅や書式をまとめて変更 |
| Shift+Space | 行全体を選択 | 行の削除や色付け |
Word作業が速くなるショートカット
Wordでは、文字の装飾や段落の調整をマウスで行っている方も多いでしょう。
よく使う書式だけでもショートカットにすると、文書作成の流れがスムーズになります。
| ショートカット | できること |
|---|---|
| Ctrl+B | 文字を太字にする・解除する |
| Ctrl+U | 下線を付ける・解除する |
| Ctrl+E | 中央揃え |
| Ctrl+L | 左揃え |
| Ctrl+R | 右揃え |
| Ctrl+Enter | 改ページする |
| Ctrl+H | 文字を置換する |
| Shift+F3 | 英字の大文字・小文字を切り替える |
実例:文書の途中で次のページへ移りたい
文章の途中で何度もEnterキーを押して、次のページへ送っていませんか?
Enterキーで空白を作る方法では、前のページに文章を追加したときに、次のページの位置がずれてしまいます。
そのような場合は、Ctrl+Enterで改ページを入れましょう。
前のページを編集しても、次の章は新しいページの先頭から始まります。業務マニュアルや会議資料を作るときに便利です。
Outlook・メール作業で使いたいショートカット
メール業務では、返信、転送、検索など、毎日同じ操作を繰り返します。
使用しているメールソフトやバージョンによって一部の動作が異なる場合がありますが、次の操作は覚えておくと便利です。
| ショートカット | できること |
|---|---|
| Ctrl+R | 選択したメールへ返信 |
| Ctrl+Shift+R | 全員へ返信 |
| Ctrl+F | メールを転送、または検索 |
| Ctrl+N | 新しいメールを作成 |
| Ctrl+Enter | メールを送信 |
| Delete | メールを削除 |
Ctrl+Enterによる送信は便利ですが、宛先や添付ファイルを確認せず送ってしまう危険もあります。
慣れるまでは、送信以外のショートカットから使い始めるのがおすすめです。
Altキーなら、覚えていない操作もキーボードで探せる
「ショートカットを全部覚えるのは無理」と感じる方に試してほしいのが、Altキーです。
ExcelやWordなどでAltキーを一度押して離すと、画面上部のメニューにアルファベットや数字が表示されます。
表示されたキーを順番に押すと、マウスを使わずにリボンメニューを操作できます。
例えば、表の書式を変更したいときに、どのショートカットを使えばよいか分からなくても、Altキーを押せば画面上に次の操作が表示されます。
- Altキーを一度押す
- 画面上に表示された文字を確認する
- 開きたいメニューに対応するキーを押す
- 続けて表示されるキーを押す
表示されるキーは、使用しているソフトや画面によって異なるため、まずは実際の画面に出た文字を確認しましょう。
Altキーのよいところは、操作を暗記していなくても、画面の案内を見ながら進められる点です。
ショートカットは、すべて覚えなくてよい
ショートカット一覧を見ると、「こんなに覚えられない」と感じるかもしれません。
しかし、実際に必要なのは、自分がよく使う操作だけです。
例えば、Excelで名簿を作る人と、Outlookでメール対応をする人では、覚えるべきショートカットが違います。
次のように段階を分けて覚えると続けやすくなります。
第1段階:基本の5個
- Ctrl+C:コピー
- Ctrl+V:貼り付け
- Ctrl+Z:元に戻す
- Ctrl+S:保存
- Alt+Tab:画面切り替え
第2段階:自分の仕事で使う5個
Excelをよく使うなら、Ctrl+矢印キーやCtrl+Dを追加します。
Wordをよく使うなら、Ctrl+BやCtrl+Enterを追加します。
メールが多いなら、返信や新規作成の操作を覚えます。
第3段階:マウスを使った操作を一つずつ置き換える
作業中にマウスへ手を伸ばしたとき、「これはキーボードでできないだろうか」と考えてみましょう。
一日に一つずつ覚えるだけでも、1か月後には多くの操作がキーボードでできるようになります。
ショートカットを忘れないための練習方法
ショートカットは、一覧を読むだけではなかなか身につきません。
実際の仕事で繰り返し使うことが大切です。
覚えるキーをデスクに貼る
今週覚えるショートカットを3個だけ付箋に書き、パソコンの近くへ貼ります。
例えば、次のように決めます。
- 今週はAlt+Tabを使う
- 保存は必ずCtrl+Sで行う
- 間違えたらCtrl+Zを押す
一度に10個覚えるより、3個を繰り返したほうが身につきやすくなります。
同じ操作を3回続けて試す
新しいショートカットを知ったら、その場で3回試してみましょう。
一度だけでは忘れやすいですが、続けて操作すると、指の動きとして覚えやすくなります。
よく使う操作だけを残す
ショートカット一覧をすべて印刷する必要はありません。
自分の業務で実際に使ったものだけを一覧に残すと、自分専用のショートカット表ができます。
マウスを使ったほうがよい作業もある
すべての操作をキーボードだけで行う必要はありません。
次のような作業は、マウスのほうが分かりやすい場合があります。
- 画像や図形の細かな位置調整
- Excelグラフのサイズ変更
- Canvaや画像編集ソフトの操作
- 複雑な範囲の選択
- 初めて使うソフトの画面確認
大切なのは、マウスを完全に使わないことではありません。
繰り返し行う単純な操作だけを、ショートカットへ置き換えることです。
今日から使うショートカットチェックリスト
- □ コピーはCtrl+Cを使う
- □ 貼り付けはCtrl+Vを使う
- □ 間違えたらCtrl+Zで戻す
- □ 保存はCtrl+Sで行う
- □ 画面の切り替えはAlt+Tabを試す
- □ Excelの長い表ではCtrl+矢印キーを使う
- □ ファイル名の変更はF2を使う
- □ 画面を並べるときはWindowsキー+矢印を使う
- □ 分からないOffice操作はAltキーを押して確認する
よくある質問
Q. ショートカットを使うと、本当に仕事が速くなりますか?
一つの操作だけでは大きな差に感じないかもしれません。しかし、コピー、保存、画面切り替えなど、毎日何度も行う操作を置き換えると、作業の流れが止まりにくくなります。
Q. どのショートカットから覚えるのがおすすめですか?
Ctrl+C、Ctrl+V、Ctrl+Z、Ctrl+S、Alt+Tabの5個から始めるのがおすすめです。さまざまなソフトで共通して使えます。
Q. ノートパソコンでも同じように使えますか?
基本的には使えます。ただし、F2などのファンクションキーは、機種によってFnキーと一緒に押す必要があります。
Q. Macでも同じですか?
Macでは、WindowsのCtrlキーの代わりにCommandキーを使う操作が多くなります。この記事は主にWindowsパソコンを対象にしています。
Q. ショートカットが動かないときはどうすればよいですか?
使用しているソフト、キーボード設定、会社の端末設定によって動作が異なる場合があります。まずは別の画面で試し、ソフト固有の設定も確認してください。
まとめ:最初は5個だけ覚えれば十分
ショートカットを使う目的は、すべての操作を暗記することではありません。
毎日何度も行っている操作をキーボードへ置き換え、マウスとの持ち替えを減らすことが目的です。
まずは、次の5個から始めてみましょう。
- Ctrl+C:コピー
- Ctrl+V:貼り付け
- Ctrl+Z:元に戻す
- Ctrl+S:保存
- Alt+Tab:画面切り替え
慣れてきたら、Excel、Word、Outlookなど、自分がよく使うソフトのショートカットを少しずつ追加していきます。
今日の仕事では、まず一度だけAlt+Tabを使って、開いている画面を切り替えてみてください。
その小さな一回が、マウスに頼りすぎない働き方への第一歩になります。